大阪出張




普段よりもずっと早起きをした朝。ふいに、

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

という、茨木のり子 さんの詩が思い浮かび、続いて思い浮かびました、

自分の身体ぐらい
自分で守れ
ばかものよ

という言葉をぶつぶつ呟きつつ出かける準備を。
これまで、有馬、博多、奈良で絵本展を開催いたしましたが、そのどれも考えてみましたら私はお客様扱いをしていただいておりました。有馬での展示は、新神戸駅までの送迎付きで、展示を見せていただいただけ。博多も、言われた時間に集合をし、あとは皆さんに付いて移動をしただけ。昨年の奈良での展示の折にも、京都でピックアップしていただき会場入り、展示作業、チェックと立会いを済ませまして、帰りは新大阪まで送っていただく、という甘やかされよう。今回、ジョルダンでしっかり下調べをして行ったにも拘らず、新大阪駅から会場のある北野田駅まで、いったい何人の駅員さんに行き方を尋ねたことか。ふう。予定しておりましたよりもやや遅れたものの、ちょうど博物館の二人のスタッフの方と一緒になるという、ベストのタイミングで駅到着。
会場入りをいたしまして、関係者全員でご挨拶後、まず近くのお店に移動をいたしまして、ふぐ!の昼食。さすが大阪、冗談が飛び交い、和気藹々と楽しく食事を。おご馳走さまでした。会場となるギャラリーに戻りまして打合せ。M新聞のTさんが用意してくださったレジュメに沿って、役割分担、詰めるところなど、順調に話が進み、会場や備品なども見せていただき、すっきりと打合せ終了。良い方々に恵まれ、良いイベントになりそうな予感が。Tさんからは、ひょっとするとN、Tなど、他の都市での開催も可能性が、とのお話も。素晴らしい。その為にも今回の展示は成功させませんと。
打合せ後、「帰りに西宮でaquioさんの作品を見て帰ろうと思っているんです」と話しますと、博物館のスタッフFさん、Yさんが案内をしてくださるとのこと。ありがたいですこと。aquioさんの笑顔いっぱいのアルバム、博物館スタッフの前にその姿を現したaquioさん幽霊写真、などを見せていただきつつ西宮へ。
昨年11月末にオープンいたしました、阪急西宮ガーデンズ。まだぴかぴかの美しい阪急西宮の店内を進み、エスカレーターで4階までまいりますと、目の前にaquioさんの大きな作品『うみのものがたり』が。ああ、これが、納期に間に合わず、岡山のHさんと徹夜で仕上げたという作品なのですね。青海波文様の波の上に、人魚、ピノキオとジュゼッペ爺さん、亀に乗った浦島太郎、船を引くガリバー、鯛に乗った恵比寿と大黒、などが並ぶ、明夫さんらしいなんとも美しい作品。ハンドルを回してそれぞれのからくりを動かすことができるようになっているのですが、予想していたよりも扱いが荒かったのでしょう、壊れてしまっているからくりも多く、なんとか動いている仕掛けも、Yさんによりますと、本来もっと複雑な動きをするものとのこと。aquioさん、天国でニコニコしている場合じゃありませんよ、ちゃんと直してあげなくちゃ。
すぐ隣にございます、博物館のショップで、ヴァルター・ヴェルナーさんの小さなくるみ割り人形を購入。ヴァルターさんは、aquioさんともとても親交の深かったヴェルナー家三兄弟のお父様。存じ上げませんでしたが、ヴァルターさんも昨年、亡くなられたのだとか。そうでしたか。二年ほど前に、ザイフェンの工房を訪れた際には握手をしていただき、大きな手の暖かさが今でも思い出されますのに。
その後、aquioさんの日記にもしばしば登場していらっしゃいました、阪急のE氏と博物館スタッフの打ち合わせにお邪魔をさせていただき、クレープとミルクティーをご馳走に。そうこうするうちに、博物館のYさんにそろそろ新神戸に向かわないと予約をしてある新幹線に間に合わないことを教えていただき、途中、「実は…」、というaquioさん秘話を公開しあったり、aquioさんの声に似ているという阪急電鉄のアナウンスを聞いたりしつつ三宮までご一緒していただき、お別れ。新幹線のホームにたどり着きましたのが、列車到着時刻の5分前というぴったりのタイミング。無事に東京へ戻ってまいりました。
打合せは順調でしたし、ずっと見たかったaquioさんの作品も見ることができましたし、aquioさんが築いてきてくださった関係からまた新しい繋がりがどんどん広がり、多くの方々と出会うことができましたし。おかげさまで、実り豊かな一日でした。
諸々、大切に繋いでまいりませんとね。
※画像は西宮阪急のALIMALIで、ショップとスタッフを笑顔で見守るaquioさん。