バリ島 三日目



普段はとても夜更かしなのですが、バリでは部屋に戻ってもテレビもパソコンもなく、照明も暗めのため本を読むこともできず、さっさと寝るしかございませんで。朝は元気な雄鶏の鳴き声に5時ごろ一度目が覚めてしまうのですが、ここで起きてはいくらなんでも早過ぎる、と頑張って二度寝をいたしまして7時ごろ起床。
バリ島の人々はそのほとんどが敬虔なヒンズー教徒。毎朝、椰子の葉と、色とりどりの花々、そしてお米や飴などで手作りをした美しい神へのお供えが、寺院、街、店、家、いたるところに供えられます。道を歩いておりましても、うっかりするとお供えを踏んでしまいそうになるほど。Iさん宅も毎朝、次男のお嫁さんが丁寧に祈りを捧げながら、敷地内にたくさんのお供えとお線香を。画像一番右は、Iさんの敷地内にございます、りっぱな寺院、と呼んでいいのでしょうか、Iさんは、「神様、です」、と。





この日は、これもまた美味しいお粥とフルーツサラダとバリコピの朝食を済ませましてから、Iさん手配のバスに乗り込み、ガイドさんの案内付きで棚田、バトゥール湖、ブサキ寺院などを観光することに。ウブドもバリの中では山の中と言えるのですが、今日向かいますのは更にぐっと山奥、標高の高いエリアです。
2月のバリは雨季でオフシーズンなのですが、滞在中は幸い降ってもスコール程度。この日はこんがりと焼けてしまいそうなほどの日差しの強さ。椰子の葉も、棚田も眩しいほどきらきらと輝いてしまって、少々お天気が良過ぎ。バリの緑は、しっとりと雨に濡れている方が風情があるような。
棚田、コーヒー農園の見学に次いで、バトゥール山、バトゥール湖へ。ガイドさんより、「とても眺めがいいですが、物売りが多いですので気をつけてください。品物を良く見て気に入ったら買ってもいいです」、とのお話が。このガイドのDさんもIさんの弟子で、たくさん勉強をして日本語をマスターし、ガイドの資格を取得したとのこと。まだお若いのに偉いです。バスを降りますと、たしかに群がるように物売りが走り寄ってまいります。「ティシャツジューマイセンエン」。お安いですこと。木の実とビーズのようなもので作られたブレスレットを30個ほどじゃらじゃらさせて、「ゼンブデセンエン」。お安いですこと。
と感じてしまいますが、バリでは1万円あれば、なんとか一ヶ月生活することができるのだそうです。一万円をルピアに両替いたしますと、約127万ルピア。貨幣価値を考えますと、彼らにとって観光客が使うお金がいかに法外か、と色々な場面で考えることも多かったです。下の画像の右から二番めは、闘鶏用の鶏。ガイドのDさんによりますと、バリ島では女性は皆働き者だが、男性は怠け者が多いとのこと。奥さんが一生懸命稼いだお金を、すべてギャンブル、闘鶏につぎ込んでしまう夫が社会問題となっているのだそうです。闘鶏をしているところを警察に見つかったら逮捕。ただ、バリでは闘鶏は昔からあり、鶏がどちらかが死ぬまで闘わせ、その血を神に供えるという伝統的な儀式でもあるので、お祭の時にのみ開催が許されるとのこと。





さて、いよいよバリ・ヒンドゥー教総本山の寺院であるブサキ寺院に到着です。この日はお天気が良く、いつもは霧に包まれていてなかなか頂を見ることができないという、聖峰アグン山もくっきりとその姿を。ブサキ寺院は、30ほどの寺院の集まりからなっているそうで、見渡すかぎり寺院、寺院、そして寺院。途中、高台の売店で、お菓子を買って皆で休憩をしたのですが、ポテトチップスの袋が、アルミ風船のようにポンポコリン。気圧がずいぶん低いのでしょう。
今回は、お祈りをしている寺院の内部には入ることはできませんでしたが、バリの正装、女性でしたらクバヤとサロンを身に着けていれば、誰でも問題なく入ることができるとのこと。きちんとサロンを身にまとったHさんが、「全員サロンをしてくればよかったなあ」、と。また訪れる機会がございましたら是非。





ここからまた一ヶ所美しい棚田を見学したあと、一気にウブドに戻り、宿のIさんお薦めのレストランLで、Iさんも合流しての昼食。バリのレストランで注文をする場合には、スープだけはまず一人一人が選び、後はあれこれとって皆でわいわい食べる、とするのがほとんどでした。この日もチキン入りヴェジタブルスープに始まり、パパイヤとアボカドのサラダ、サテ盛り合わせ、シーフードグリル、ミックスグリル、エビのベーコン巻き、カリカリに焼いた芳ばしいアヒルナシゴレン、何やらよくわからないピリ辛サラダ、フルーツ盛り合わせにレモンジュースにコーヒー、とどれも美味しくてどうしましょうというほどのお御馳走。幸せ。
出発前には、食欲がなく、体調が優れず、皆から、抵抗力も落ちていそうだし、バリでまた変なウイルスでももらって具合悪くなるのでは、と心配されておりましたが、どっこい誰よりももりもりと良く食べ、「あなた細いのに本当に良く召し上がるわね」、と驚かれたほど。前回のバリ旅行では、バリ腹、というのでしょうか、お腹を壊して大変だったのですが、今回はそれもなし。おかげさまで元気いっぱい過ごすことができました。





食事の後、希望者のみ、ネカ美術館/NEKA ART MUSEUMへ。何度もウブドを訪れている方々は宿へ戻り、私は美術館を見てから戻ることに。伝統的なバリ絵画から、現代のインドネシア絵画まで、さまざまなスタイルのバリ絵画が多数展示。庭園や建物の美しさも楽しむことができます。画像一番左、扉の彫刻の見事なこと。
宿へ戻り、一休みしましてからバリ舞踊を観に宿から5分ほどのプリアタン村にございますバレルンステージへ。ティルタサリ/Tirtasari楽団というこれもまたバリで最も評価の高い舞踊団とのこと。このティルタサリを率いるマンデラ家は王家の一族で貴族階級という家柄なのですが、実はこのマンデラ家にはKさんという日本人女性が嫁いでいらっしゃるのです。レゴン・ラッサム、クビャール・トロンポン、バロン、などの見事な音楽と踊りを堪能。素晴らしいです。以前、ホテルのディナーショーで観た踊りとはまったく別のもの。せっかくバリで踊りをご覧になるのでしたら、是非訓練され尽くした、この動きを見ていただきたいと。終演後、なんとも優雅で美しいKさんにご挨拶。綺麗な女性が大っ好きなものですから、お願いをいたしまして一緒に記念撮影を。翌日のランチをご一緒するお約束をいたしまして、楽しみに。
興奮冷めやらず、といった状態でお迎えの車に乗り込み、宿に戻りますと、Iさんが特別ディナー、豚の丸焼きを用意して待っていてくださいまして、少し遅めの夕食。テーブルを、まるでお祭のように椰子の葉や花で綺麗に飾ってくださる、その心遣いも嬉しいですこと。そして、こんがり焼けた子豚ちゃんの美味しいこと。ヒンズー教は牛は聖なる動物なので食べない、(けれどもとても美味しい)そうですが、豚は食べるとのこと。付け合せには、バンガローのテラスから見える渓谷で摘んだというワラビも添えられ、これがまた美味。バリ島で蕨をいただくとは思いませんでした。
こうして、また幸せいっぱいの一日が過ぎたのです。