GOLDILOCKS AND THE THREE BEARS



はるばるアメリカから渡ってまいりました、クバシュタの絵本『三匹のクマ』。すでに『三匹のクマ』は持っているのですが、表紙に仕掛けのあるタイプを入手したのは始めてのこと。
お父さん熊が牙を剥く仕掛けの、まるで大魔神のようなあまりの表情の変わりっぷりに思わず笑ってしまった後、ページを繰り、読み進めてまいりますと、あら?本の中ほどで突然ページの上下が逆さまになり、しかも、オオカミが鍋に落ちるのを三匹の子豚が喜んで見ているシーン。???
ええと、この本は『三匹のくま』、だったはず。何故3匹の子豚が登場?と混乱。物語はそのまま『三匹のこぶた』の話を遡り、裏表紙はというと、“THE THREE LITTLE PIGS”なるほど。表紙からは『三匹のくま』、裏表紙からは『三匹のこぶた』、表裏どちらからも物語がスタートし、どちらのお話も本の真ん中で終わる、という珍しい作りの仕掛け絵本だったのです。クバシュタファンにとりましては一冊で二度美味しい本。
さて、日本では『三匹のクマ』として通っておりますこの物語ですが、英語のタイトルは、“Goldilocks and the Three Bears”。Goldilocksというのは、登場する女の子の名前。この、日本ではその名前にはあまり馴染みのないゴルディロックスちゃんは、なんと経済用語にもなっているのだそうですね。
三匹のクマさん宅に迷い込み、お父さんクマのスープを「熱すぎるわ」と言い、お母さんクマのスープを「冷たすぎるわ」と言い、子グマのスープを「これはちょうどだわ」と言って全部飲んでしまう。ここからゴルディロックス経済、“Goldilocks economy”とは、経済が過熱しすぎず(インフレはなく)、また冷え込みすぎず(不況や、高い失業率とも無縁で)、ほどほど、適度であるという、理想的な経済状態を表す言葉として使われているとのこと。
1つ、ちょっと違うのでは、と思いますのは、お母さん熊のスープは「冷た過ぎる」のではなく、「これもまだ熱すぎるわ」、のはず。大中小のボールに入ったスープの冷め方を考えましても、とっても不自然。“Goldilocks economy”を説得力のある言葉とするために、きっとどこぞのおじ様が少々無理をされましたのでしょう。それとも、お母さん熊、自分だけは冷製スープを用意していたのだったりして。