文化人形




母の縮緬細工の作品、文化人形。
古びた温泉街の土産物屋の軒先で、ビニール袋に入れられて、ぶらぶら揺れている姿が目に浮かぶような。古臭さがまたなんとも可愛らしいです。
文化人形。何故、文化なのかを少し調べてみましたところ、大正から昭和30年代にかけて、文化鍋、文化コンロ、文化包丁、文化ホウキ、文化ちりとりから、文化住宅まで、「文化」という言葉はまるで1つのブランドのように、先進的なもの、新しい機能を持った商品に使われていたようです。
文化人形も、それまでの切れ長の目に振袖姿の市松人形と比べましたら、ぱっちりお目め、洋装、とおそらく新しい時代の訪れを感じさせる人形であったかと。
文化人形の検索をしておりまして、『火垂るの墓』の話がたくさん出てまいりましたので確かめてみましたところ、アニメ版でも、実写版でも、主人公の妹、節子がこの文化人形を大切に抱えて歩く、というシーンがございました。
画像の文化人形は高さが十数センチの小さなものですが、当時の女の子達は、抱き人形サイズの文化人形で、赤ちゃんごっこや、おままごとをして、遊んでおりましたのでしょう。