ピアノ選定



東京公演を3日後に控えましたピアニスト2と共に、会場となりますホールへ。
こちらのホールでは、2台ございますスタインウェイを弾き比べて選ばせてもらえるのですが、今日がその選定の日。約束の時間にホールへまいりますと、舞台上に並べられた2台のスタインウェイ。選定をするのに許された時間は30分。早速、試弾開始です。
まず、舞台奥に置かれました方のピアノ。すっきりとしておりまして、和、を感じさせるような響き。あっさり、やや硬質。続いて舞台手前のピアノ。ずいぶん響きが違います。こちらは、言うならば、古き良き時代のヨーロッパを偲ばせるような音色。柔らかく、表情が豊かです。
今日は同行していただけなかったのですが、リサイタル当日担当していただく調律師さんより、「直感で選んだ方がいいですよ。ぱっと弾いて、あ、こっちかな、って思った方にした方がいいです。」とのアドバイスを受けておりました、ピアニスト。さて、どちらを選ぶでしょうか。
10分ほどいたしまして、「こっちかな」、と呟きましたのが、舞台手前の豊かな響きの方のピアノ。それからも、あちらのピアノを、またこちらのピアノを、と時間ぎりぎりまで弾き比べをいたしまして、「うーん、難しい面もありますが、こちらにします」、最終的に決めましたのは、やはり同じピアノ。
こちらのホールは木が多用されました、それは美しく響きの良いホール。響きが良過ぎるほどのホールですので、ともすると残響に音が埋もれてしまい、もわもわと細かい粒の聴こえない演奏となりがち。でも、きっと大丈夫。持ち前の耳の良さと、勘のよさで、本番当日のリハーサル中にしっかりホールの癖を掴み、素晴らしい演奏をしてくれることと思います。