Poulet rôti



プーレ・ロティ。鶏の丸焼きのレシピです。今は亡き、料理研究家H先生のレシピ。レシピは大切な宝物。本来は無断で公開をしてはいけないものなのですが、こんなに美味しいレシピが埋もれていってしまうのはあまりにもったいなくて。H先生、皆様にご紹介することをどうかお許しくださいませ。
昨年はこのレシピで名古屋コーチンを丸焼きにいたしましたが、皮はぱりっぱり、切り分けると肉汁があふれ出すそれは美味しいプーレ・ロティに。ぜひぜひ一度お試しを。鶏の成形も、文字で読むとなんですか難しそうですが、やりはじめればなんとかなるものです。

◆材料

【ロースト本体】
 (A) 鶏(内蔵をぬいたもの)一羽 *1(1.2〜1.3kgのものがころあい)
   (イ)塩 大匙1/2位 *2、 胡椒 少々
   (ロ)クローブ 1本
 (B) サラダ油 少々
  香味野菜:人参 50g位、玉葱 50g位、セロリの軸 少々、パセリの軸 少々、にんにく 一片(丸のまま)
【焼汁ソース】*3
 (C) ブイヨン カップ1と1/2 *4
   (ハ)塩 少々、胡椒 少々 
   (二)コーンスターチ 大匙1、水大匙1
【薬味に】
 (D) クレソン

◆作り方

(1)(A)は、焼き始める20分位前に用意にかかる〜 おしりの部分に脂肪がついている様なら、それを取りのぞいて全体に(イ)をすりこみ形を整える。(画像参照)(ロ)をさす。
(2)焼皿に(B)の油をしき、香味野菜(人参、玉葱は1cm厚さのざく切り、あとは丸のまま)を散らして、その上に(1)の鶏をのせる。高温(220〜230℃)の天火の中段で一時間位焼く。
(3)(2)が焼けたら、焼き汁ソースを作る〜  焼けた鶏は別に取置き(保温の工夫をして)、焼皿に溜った脂をすてる。野菜は残したままのところに(C)をそそいで直火にかけ、一度沸かして旨味をこそげとってから布ごし(キッチンペーパーでOK)、小鍋に入れる。(ハ)で調味し *5 、再び沸かして(ニ)でとろみをつけて *6 出来上がり。(取置いた鶏から出た肉汁も、これに加えるとよい)
(4)鶏を、つけ合わせの野菜と共に盛付け、温めた焼汁ソースを添えて供する。
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●詰めものをして焼くローストも悪くないのですが、火力の強い大きな天火で焼かないとスカッとおいしく仕上がりません。本来、シンプルに仕上げたローストが最もおいしいですし、家庭料理においては、これをマスターなさるのが一番よいと思います。
このシンプルなロースト、フランス人の大好物で、季節を問わず食卓にのぼります。(フランスでは英米より、クリスマスに鳥の丸焼きを食べる習慣はうすいですし、食べるとすると、鶏よりも七面鳥です)。
丸焼きのまま食卓にのせてもよいですし、切り分けて盛りつけても上品です。
つけ合わせには、じゃがいも料理が一般的ですが、これに限るというわけでもありません。青みを添えるとすると、パセリではなくクレソンです。肉料理(殊にロースト料理)にはクレソン…肉の消化を助ける為の、昔からの知恵のようです。

《 鶏の成形の仕方 》

(1)首の骨は内部へ折りこんでしまう。お腹の下の部分の皮を切って足を通す。(足がとまる)※注
(2)背中側に首の皮をたたみ曲げ、手羽先を曲げこんで、この皮をおさえる(手羽先と共に、皮もとまる)。
※足が長すぎる様なら、関節のすぐ下のところで切り落とす(出刃包丁で)。皮の量が足りず、この様にできない時は、たこ糸で結んだり、たこ糸と太い針を用いて縫ってとめたりすす。順調にできれば何の道具も要らないのですが…。

*1:鶏は小ぶりの1.2〜1.3kgのものを、手羽2つ足2つ(計4人分)にするのが分量も丁度よい。但し、他にもごちそうがある時(フルコースで出す時など)は、1羽を6〜8人分にあてたりして調節。

*2:差あたり、鶏の脂の0.5%位を目安とする。ソースにも塩味がつくので…。

*3:フランス名はJus de rôti (ジュー・ドゥ・ロティ)、英米名はグレイビーソース。

*4:できればブイヨンの方が旨みが備わるが、水でも可能。

*5:肉にかけて丁度よくなる様、心もち辛めに。

*6:原則として、ねっとりしたソースにしないこと。さらっと流れて、つけ合わせにもしみる位がエレガント。