あられ蕎麦



先だって、久しぶりに社長が、「何かご馳走するから食べに行こう」、と。
春の私の入退院からこちら、長く社長が不機嫌な状態が続き、精神的にまいってしまったこともありましたが、このところ落ち着いておりまして。自分でも自覚があるようで、「なかなかそう上手くはいかないもんだが、仕事というのは満遍なく常にほどよく忙しいというのが理想だね。あまりに忙し過ぎるとどうしても鬱になるのよ。来年の春まではとんでもなく忙しいということはないから、僕もヒステリーを起こすこともないから安心して」。
何でも食べたいものを言いなさいとのことですので、暫し考え、『砂場』を希望。室町砂場赤坂店。こちらのお店、何と申しましても気配りが素晴らしいです。「いらっしゃいまし」、のご挨拶、席への案内、注文を取ったり、料理やお酒を出すタイミングなどがきちんとしておりまして、気持ちがいいこと。熱燗をいただきたいところですが、熱いお茶で。このお茶も、お座敷に上がりこんでいたにもかかわらず、少しでも冷めるとこちらからお願いいたしませんでも、何回も新しいものとかえてくださるのです。梅くらげ、あさり、卵焼き、鳥わさ、をつまみ、お蕎麦を注文。お品書きに、季節の蕎麦として『あられ蕎麦』とあり、どのようなものなのか訊いてみますと、子柱がのったお蕎麦とのこと。こちらを注文。三つ葉を散らした熱々のお蕎麦の上に、海苔が一枚、そしてその上に子柱。最初は生でぷりぷり、食べ進めますうちに少しずつ火が通り、味わいの変化を楽しむことができるのです。
どれもたいへん美味しゅうございました、おご馳走さまでした。だいぶ打たれ強くなってきたとは申しましても、穏やかな職場が何よりですので、春までとおっしゃらず、長く平穏な日々が続きますように。