金唐紙



サントリー美術館、ワークショップ「金唐紙〈きんからかみ〉を作る」
かつて鹿鳴館など洋風建築の壁材として珍重され、ヨーロッパの宮殿をも彩った日本の技「金唐紙」。和紙でありながら西欧の風合い漂う金唐紙の魅力を、日本唯一の金唐紙職人・上田尚氏のご指導のもとに体験。


※画像、左から1,2,3,4,5。

金唐紙 制作工程
1,合紙:手漉和紙 楮、三椏を張り合わせる。
2,金属箔張り:和紙に錫箔を張る。(0.02ミリ) ※画像1
3,型打ち:
 ・錫箔を張った和紙の裏に、湿気を与えるために刷毛で水を塗る。
 ・版木棒の表面に、錫箔面を下にして張る。 ※画像2が版木棒  
 ・布を和紙の上に置いて大刷毛(打ち刷毛)で打つ。
 ・布をはずし、小刷毛で細かい模様が出るように打つ。
 ・最後にもう一度布をかけて、大刷毛で全体を型打ちし、毛羽立ちなどを整えて仕上げる。
 ・銀箔を剥離させないように気を付けながら、版木棒よりはずす。
 ・完全乾燥させる。 ※画像3
4,着色:
 ・銀箔の麺に、刷毛でワニスを塗る。  ※画像4
 ・よく乾燥させてから、もう一度ワニスを塗る。  ※画像5
 ・絵具で彩色する。
 ・完全乾燥させる。

そして仕上がった作品が、右上の大きな画像。なんでも、ホテル、ザ・ペニンシュラ東京、一泊981,750円のザ・ペニンシュラスイートでは、これとまったく同じ文様の金唐紙が室内装飾に使われているのだそうです。
金唐紙作り。思っておりましたよりも力仕事でした。特に、桜材の版木棒に置いた紙を大きな黒豚のブラシで打つ作業。本来は男性の仕事とのことで、始めて5分もいたしますと、普段使っておりません腕の筋肉が悲鳴を。上田先生が打つと、カンカンと澄んだ美しい音が響くのですが、私が打つと、力が弱く、垂直にも打てないためか、カサ、カサ。これでは綺麗に文様は打ち出せません。なかなかコツが掴めず、ようやくコンコンぐらいの音がするようになりましたのは、20分間ほどの型打ち作業終了間際。先生にもたくさん手伝っていただき、なんとかくっきりとした文様を打ち出すことが。乾燥、ワニス塗り、そして、皆思わず無口になる彩色。
仕上がりました金唐紙は、しなやかで強く、一見皮かと見紛うほど。100年は持つとのこと。大切にいたしましょう。
最後に上田尚先生の素晴らしい作品をいくつかご紹介。なんとも豪奢。旧岩崎邸庭園洋館で、10月14日まで、上田先生の作品展、「浪漫の金唐紙」が開催中とのこと。ご興味がおありの方はぜひ。