Dresden



 

まず最初に訪れました街、ドレスデン。今回の旅で訪れた街のなかで唯一、以前に一度訪れたことのある町。前回もそこここで工事中。今回もやはりそこここで工事中。復元された建物、再建中の建物には、新しい白っぽい石材と、黒く焼けた石材が混在。ドレスデン空爆で壊滅した町。意地でも、空爆前の美しい街並みを再現してみせる、という静かで強い意思が街全体から感じられます。
 
写真左は、ホテルの部屋からの眺め。ドイツではこの時期、街々でクリスマス市が開かれておりましたが、メインのマーケットだけではなく、このように裏路地にも屋台や美しい装飾が。一度、ハウスキーピングが部屋の窓を閉め忘れた日など、戻りましたら部屋いっぱいに、立ち昇ってきた焼きソーセージの香ばしい匂いがたち込めておりました。
右はドレスデン名物。干しプラムで作られる煙突掃除夫の人形、の巨大版。必ず梯子を片手に、シルクハット姿。ヨーロッパでは煙突掃除夫は幸福のシンボルとされているとか。
 
天気予報が大当たりでして、滞在中、ドイツは異常気象とも言えるほどの暖かさ。重たいほど持ってまいりましたホッカイロは一つも使用することなく、結局全てFさんに託し、ドイツ在住の老婦人にお譲りすることにしたほど。熱々のグリューワインを楽しむには、やや暖か過ぎましたが、お陰様で、夜の散策はたっぷりと楽しむことが。
ドレスデンのクリスマスマーケットは「シュトリーツェルマルクト」と呼ばれ、1434年から続く、世界で最も歴史があるクリスマス市。シュトリーツェルとは、ドレスデンが本場のお菓子、シュトレンからきているとのこと。マーケットでまず目に入ってまいりますのが、世界最大のクリスマスピラミッド。高さは15メートルほどもあり、42体の木製人形が回る見事なもの。
 
こちらは、たまたま散策中に通りかかりました、お城の中庭で開催されておりました、中世風のクリスマスマーケット。松明や蝋燭の灯りに照らされた仄暗いマーケットは、お店の人達の衣装も中世風、屋台で売られている品々も中世風。まるで、本当に中世の街並みにタイムスリップをしてしまったかのよう。
 
興味深かったのは、同じエリアでありながら、「シュトリーツェルマルクト」と、このAdvents-Spektakel im Stallhof(とポスターに書かれておりました、)とでは、歩いている人々の雰囲気がまったく違っていたこと。こちらは、ちょっと拘りを持った大人の為のクリスマスマーケット、といった印象。
このマーケットでaquioさんにご馳走していただきました、焼き栗は、お味はとても結構なのですが口中の水分を全て吸収しつくす高分子吸収焼き栗。Fさんと、こほこほと咽そうになりながら美味しくいただきました。おご馳走さまでした。そう、この焼き栗の入っておりました袋が秀逸。何ということはない袋なのですが、上部に口が二つありまして。片方には焼き栗。もう片方には、剥いた皮を入れられるようになっているのです。ありそうでない、とてもよいアイデア

 
明けて旅行3日目は、ツヴィンガー宮殿内にございますドレスデン美術館へ。アルテマイスター絵画館を訪れますのはこれが二度目。日本の美術館でも訪れていない所がたくさんありますのに、遠く離れた地の美術館を二度も訪れることになるとは。回廊の壁一面に飾られた名画達は、あまりに数が多過ぎて有り難味が薄れてしまいそうなほど。常設展示のラファエロレンブラントルーベンスフェルメールなどの他、ガニメデ特集や、クラナッハ展など、今回初めて目にする作品も。前回訪れました折には「チョコレートを運ぶ女給」の扮装をした女性が館内を歩き回っておりまして、あまりに絵にそっくりで驚いたものでしたが、今回は見かけず。
 
ドレスデンは、クリスマスのお菓子、シュトレンの発祥の地。本場のシュトレンはどれほど美味なのかしらん、と期待しておりましたが、ドイツで暮らした経験もおありのFさんのお話の通り、日本人の口には今ひとつ合わないよう。日本のシュトレンはもっちり、どっしり、で香り高いものですが、ドレスデンのそれは、まず口当たりがぱさぱさ。比較的上等なものをいただいたと思うのですが、それでも味に深みが足りないように感じられるのです。なるほど、日本人には日本のシュトレン。Fさんによりますと、バームクーヘンも、日本人には日本のバームクーヘン、とのこと。
画像はドレスデンの、マンホールの蓋と、救急車。