どうか無理せず



来年の夏、来日予定のクラリネット奏者と、担当ピアニスト1とのコンサートを予定しております。東京公演はすぐに決まったのですが、関西公演の会場がなかなか決まりませんで。
実は、今春ある文化財団に就職をいたしました、ピアニスト1の弟子が、「企画を通します」、といってホール使用の交渉をずっと頑張ってくれているのですが、なかなか上司のOKがでないとのこと。先ほど、6時半過ぎにそのお嬢ちゃまから携帯に電話があり、2時間近くもあれこれお話を。
「上司に企画を出しても、読んでもらう時間がないほど多忙。財団として抱えている事業が多すぎる上に、人が足らない。就職してすぐから、体中に真っ赤なみみず腫れの蕁麻疹が出るようになり、病院ではストレスが原因と診断された。でもそれを上司に知られて心配されるのがいやなので、気づかれないように隠すのがたいへん。今週も39度の熱が出たけれども、仕事は休めなかった。でもこれは風邪からだと思う、声もがらがらなので。トイレにもなかなか行けないので、ここ2週間ほどは血尿が続いている」、とのこと。そんな…。今時、そんな職場があるのでしょうか。頑張ってしまうタイプなので、余計にそうなっていってしまうのかも。一緒に飲んだりもしたことのある女性ですので、話を聞きながら、あまりに可哀相で。ここ数日緩みがちな涙腺からは思わず涙が。
企画がなかなか通らない事をとても心苦しく感じているようでしたので、とりあえず上司を説得できそうな材料を、二人で相談しながらなんとか2つひねり出しまして、「今日これから頑張って企画書を書きます」、というので、「今日はもう帰ってお家でちゃんとご飯を食べて、眠って。日曜日に久々にお休みをもらえるのなら、その日に書けばいいことにして、来週は何がなんでも、せめて半日でもお休みをもらって、泌尿器科にきちんと行って診察を受けるように」、と説得。「そんな生活では、彼と会う時間も取れないでしょう」、と尋ねると、「はい、それが…あれから色々あって。仕事でぜんぜん会えないし…結局10月に別れてしまったんですよ」、と。
新卒で就職が決まった時には心からお祝いを伝えましたが、今の彼女の姿を見ていると、良いことだったのかどうだか。今の生活は、とても人間らしい生活とは言えませんでしょう。人は、本当に辛いと体に出るといいますよね。今、まさに彼女はその状況。「このままの状況が続くようなら、お仕事辞めてしまいなさい。」娘にだったら、そう言ってしまうのに、と思いながら、電話を切りました。