父転ぶ



弟がふと口にした「ハーゲンダッツのアイスが食べたいな」、一言を聞き、のんびり散歩をかねて歩いて5分ほどのお店に買いに出た父。しばらくいたしましてチャイムが鳴り、隣家のお嬢さんが、「道でおじいさんが倒れてますよ」と。「嘘でしょ、大変!」、と皆で飛び出しますと額から血を流し、頬を腫らし横たわる父の姿。頭を打ったとのことですので、近くの病院に相談いたしますと「お正月で対応できる病院が限られているので救急車を呼ぶように」とのアドバイス。母と弟が付き添い救急車で運ばれ、診察を受けたところ骨や脳に特に異常はないとのこと。よかったです、安心いたしました。戻った父は頭に包帯、頬に熱さまシート。お正月から気の毒ですが、大事なくて本当に何よりでした。

私:「お父さん、ちゃんとアイス買って来てくれたのよ。ハーゲンダッツじゃなくて雪見だいふくだけどね。命をかけて買ってきてくれたアイス」
弟:「命がけのアイスか。それは食べなきゃな」
私:「そう、でも良かったわよね。たいしたことなくて。これがもう…」
弟「ああ、これで打ち所悪くて死んじゃったりしたら、もう一生アイス食べられなかったよ」
私:「ハーゲンダッツ握り締めて息絶えていたりしたら、二度とハーゲンダッツは食べられないわよね」
弟:「だよな。ほんとよかったよ」

と、そこでリビングに登場した父。笑顔で「アイスうまいか?」。はい、もう、ありがたくありがたく頂戴いたしましたですよ。お正月ですのに、迅速丁寧に対応をしてくださった救急隊員の皆様、たいへんお世話になりました。ありがとうございました。