国立劇場 2月文楽公演



観てまいりましたのは、2月公演の第一部『源平布引滝』より矢橋の段・竹生島遊覧の段・九郎助内の段。そして、景事 『団子売』。
文楽。以前からずっと観たいと思っておりまして、今までにも何度かチケットを押さえたり、お声をかけていただいた事はあったのですが不思議と必ず何か他に外せぬ用ができたりでなかなか実現せずにおりました。さすがに今回高熱を出しましたときには「これはもしや前世で人形遣いとでもすったもんだあり、お、御前にだけは人形浄瑠璃は見せたくないのじゃ…などと何か背中に憑いているのでは」と訝ったりもいたしましたが、そんな大層なことでもなかったようで、めでたし。
さて、初めての文楽。今回観た出し物は物語の展開が速く、次々と明らかになる人間関係にも、ええっ?!とただただ驚くばかり。予習せずに出かけてかえってよかったと思いましたので粗筋は書きませんが、親子の情や、忠義立てにほろっとしていると、続く台詞回しに大笑いをさせられる。へらへら笑っていると、あれよあれよという間に、人は宙を飛ぶ、首は飛ぶ、手首は飛ぶ、屍さえ生き返る。もう、笑うわ、泣くわ、驚くわ、で大忙し。いやはや、文楽がこんなに刺激的で面白いものだとは。最近始まったという、舞台上部に映される義太夫の詞章も、物語を理解しやく、初心者でも楽しめた一つの要因かもしれません。
それにいたしましても、今からこれだけ涙してしまうようでは、お婆さんになってさらに涙腺が弛んだら、おいおいと客席で号泣してしまいそう。できるだけ人様にご迷惑をおかけしない老婆を目指しておりますのに、どういたしましょう。