『顔の美について』



以前読み、内容は印象に残っていたのですが、作者もタイトルも思い出せずにおりました文章。記憶を辿り、言葉の断片から検索いたしまして見つける事ができました。

もし世の中に美容術というものがあるとすれば、それは精神的教養以外にはないであろう。顔面に宿る教養の美くらい不可思議なものはない。精神的教養は形のないものである。したがつて目に見える道理がない。しかしそれが顔に宿つた瞬間にそれは一つの造形的な美として吾人の心に触れてくるのである。
また精神的教養は人間の声音をさえ変える。我々は隣室で話す未知の人の声を聞いてほぼどの程度の教養の人かを察することができる。
随筆(抜粋) 『顔の美について』  伊丹万作 

そう、宿る。長く生きれば生きるほど宿ったものが表れるように、表れてしまうように、思います。