28 金礦



キンクワウ 靜岡縣 土肥礦山

金鉱(Au)Gold ore、は金を含んでいる鉱石。ほとんどが石英に自然金を含んだものですが、肉眼で金粒を確認できるほど大粒の物はほとんどないそうです。

昔ながらの金の精製方法というのは、まず金鉱石を粉砕機で砕き、すり鉢のようなもので石を細かくしていきます。粉のようになったら皿の上に取り出し、手で揺すると密度の大きい金が皿の底にたまっていきます。この金を取り出して水銀と混ぜて布でこすとアマルガム(金と水銀の合金)ができます。これに熱を加えて水銀を蒸発させると純度の高い金を抽出できる、のだとか。約30kgの鉱石から、たった1gの金しか取れないそうです。


1gの金は約2kmに引き延ばすことができ、また1mmの万分の一の厚さに打ちのばすことも出来ます。普通、金は不透明で強い金属光沢を示しますが、このような薄い金箔にしたものは、通過光線で見ると緑色に見えるとか。金箔は持っているのですが、細かな物なので、残念ながら光に透かして見る事はできません。

品位。人や物ですと、備わっている気品や気高さを表す言葉になりますが、金属の場合には純度、鉱石中の金属の含有率を表します。この品位、純度を調べるのに古くから試金石が使われてきました。試金石、黒い碁石に金で筋を付けると、黄金色の筋が付きます。銀を多く含むほど白っぽく、また黄銅鉱や黄鉄鋼などは以前にもお話いたしました通り、金に似ているのですが黒い線しか付かないのだそうです。

金の用途として一番多いのは貨幣。他は美しい光沢を持ち、変色しないため美術品や装飾、金箔、線、に使われています。金歯に使われるのは、薬品に侵されないからだとか。

標本の金鉱。写真ですと汚い小石のようにしか見えませんが、実際には細かいながらもここが金ね、とわかる強い輝きを放っている部分があり、暫し時を忘れて見とれてしまいます。やはり金には人を惹きつける何か魔力のような物があるのかもしれません。