難民



ホテルお泊まりのお楽しみの一つ。というよりも、友人と私の場合、これが一番の楽しみと言えるのがホテルのバー。今回も夕食時にはビールを少しいただくだけで我慢いたしまして、お部屋に荷物を置いたらすぐに「さあ、飲みにまいりましょう」とメインのバーへ直行。ところが・・・ウェスティンのメインバー、ロビーラウンジを横切らないと入口にたどり着けないうえに、ラウンジに面したドアは開放したままの状態で落ち着いて語らう、という雰囲気ではありません。しかも金曜の夜ということもあったのか満席とのこと。

では、という事で最上階にありますスカイラウンジ、コンパスローズへ。22階でエレベーターを降りますと耳に入ってまいりましたのがまずピアノの生演奏。続いて、わいわいがやがやとしたざわめき。今にも誰かが歌い出すのでは?というほどの大騒ぎ。ここはビアガーデンかはたまた居酒屋か、といった雰囲気です。それでも喉が渇いておりましたし、案内をお願いすると、なんと「大変申し訳ございません。あいにく只今満席でして」と。

嘘みたい。どういたしましょう。という事でまたロビーに戻りまして、コンシェルジェに「どちらのバーも満席だったのですが、どこか近くに落ち着いて飲めるバーはありませんか?」と尋ねると地図を取り出し、困ったように「少々遠いのですが、こちらのバーなど落ち着いた雰囲気ではありまが」とペンで指した先は恵比寿の駅のはるか彼方。ゆうに20分は歩くような場所です。他には?と聞いてももう候補はない様子。

もうこの時23時をまわっておりましたので、では結構です。と席が空いたかもしれないから、と再びメインバーへ。ところがやはりまだ満席。もう喉が渇いて死にそう・・・と仕方がないのでロビーに面したラウンジで飲む事に。やっと席を用意していただき、すぐにカクテルを注文。

ところがです、20分ほどたっても出てこないんですね。友人が頼んだのは定番のカクテルだったのですが私が注文いたしましたのがパイナップルジュースを使ったカクテルでしたので、きっとパイナップルを買いにどこかへ走っているのではないか、などと笑っているうちはまだよくてそれから更に10分ほどいたしましても出てまいりません。

いい加減忘れられているのではないかと係りの方に催促をすると「申し訳ございません。只今大変混み合っておりまして」と。「では、とっても喉が渇いているのでお冷やだけでもいただけませんか?」とお願いすると「はい、すぐにお持ちいたします」。ところが・・・・お冷やも出てこないのです。さらにそれから10分ほどして、もう諦めてお部屋に戻りましょうか、というところでカクテル登場。それを見ていた先ほどお冷やを頼んだ係りの方が、目を丸くしてお冷やを持ってまいりました。「申し訳ございません!」と。ちょっと呆れておりましたので「どこまでお水を取りに行ってくださったのかしら、と話していたんですよ」と申し上げると「富士山麓まで」ですって。ほほほ。

そしていただいたカクテル。うぅぅん、何かの味に似ているわ。そうよ!子供のころ、お風呂上がりに飲んだパンピーの味です。友人も「このフローズンダイキリ、ちょっと変な味がするの。ちょっと飲んでみて」と。お味見をすると、なんとなくいぶ臭いんです。「うん、確かに。灰の味がするし、ぎりぎり12時前に出てきたし、フローズン・ダイキリではなくてフローズン・シンデレラと名付けましょう」・・・。

ウェスティン東京への印象。お部屋は素敵で好感度120%だったのですが、もう、このバーの一件で大幅ダウン。私たちはただ落ち着いて飲みたかっただけですのでまあいいといたしましても、これが、今日が勝負のカップルだったりしたら大変ではありませんか。人生変わってしまうかもしれませんでしょ?ねえ。