血に染まる鍵盤



id:owl:20030620さんの日記を読ませていただいて。

owlさんの日記のコメントにも書かせていただきましたが、その昔良い演奏が出来るようになりたくて、たいへん長い時間をピアノの練習に費やしていた時期がございました。もともと肌も爪もあまり強い方ではありませんでしたので、激しい曲を長く弾き続けるとどうしても爪がはがれてしまいまして。そのような時は「コロスキン」という接着剤のような薬で傷口をふさいでまた練習を続けたものでした。でもこの薬、傷にしみて涙が滲んでしまうほど痛いんです。

また、楽器にはグリッサンドという奏法がございまして、ピアノの場合はある音から音までの間の音階を爪や指、手の一部を使って滑らすように一気に上がったり下がったりするのですが、これが大変。確か、最初に思いっきりこのglissandoが出てまいりましたのはドビュッシーの「ピアノのために」。なかなか楽しい奏法なものですから面白がって何度も練習しておりましたら鍵盤に赤い線が。傷はかさぶたとなり、グリッサンドをする度にまた血が…。血の滲むような、とはまさにこの事。

私にも北島マヤのような一時期があったのだわ(ぜんぜん違いますね、ごめんなさい)…などと、今は爪を伸ばしマニキュアを欠かさぬ指先を見つめながら感慨にふけってみたりして。