東京



先だって、「将来どこで暮らしたい?」、と訊かれ、「東京」と答えました。
千葉で暮らしていた頃は千葉が好きでしたし、子供の頃、奈良に住んでいた時には奈良が好きでしたし。生活をしておりますと馴染み、お気に入りの店なども増えてその土地に愛着を抱くものだからでしょうか、今は、東京が大好きです。
楽しいこと、美しいもの、洗練されたもの、美味しい物が次々と、日本中から、世界中から集まってくる、というのも嬉しい点ですが、何より居心地良く感じますのが、色々な価値観を受け入れる懐の深さを感じるところ。東京はそれこそ寄せ集めの町。みんなちがって、みんないい。
例えば着る物。原宿などを歩いておりまして、思い思いのファッションをした人たちがそぞろ歩くのを見ながら思い出した話。
以前、中国地方に暮らす知人と東京で久々に会った時、「あなたのような格好をして私が住んでいる町を歩いていたら、頭がおかしいんじゃないかと思われますよ」、と言われたことがありました。その時着ておりましたのが、黒のカットソーに白地に黒の花柄のスカート、という私としましてはおとなしめの服装だったということもあり、(これで頭がおかしいと思われるような町で暮らすのはちょっと大変だわ)と思ったものでした。
また別の、地方都市で暮らす友人は、「この町の主婦の服装の基本はトレーナーにジーンズ。きちんとお洒落をして歩くと白い目で見られてしまう。車も、たとえお金があっても目立たない国産車しかみんな買わない」、と。彼女はあるイタリアのブランドの服を愛用しておりまして、決して派手ではないのですが、とてもお洒落で素敵な女性でしたので、そういった不文律を重苦しく感じていたよう。
様々な価値観を受け入れることができることを成熟の一つの要素と考えておりますので、日本の中で、東京は一番成熟した都市である、と思っております。