今宵、銀河を杯にして 喜久水 特別純米酒 「菊慈童」



飯田でピアニストがプレゼントされたものを、私がいただいて帰ってまいりました。日本酒度+2、やや辛口と書いてありますが、やや甘く感じます。このお酒で注目していただきたいのは、何と申しましてもラベルに書かれております絵。

飯田市では昨年地元出身の画家、菱田春草の「菊慈童」を、市民有志から基金を募り、3億ですか3億5千万ですかで買い求めたのだとか。この「菊慈童」が展示されております美術博物館でもコンサートがあったものですから、コンサート終演後、時間外ではありましたが見せていただいてまいりました。線描のない、朦朧体、という手法で描かれたものなのだそうで、このラベルの上部には霞が拡がっておりまして、確かに朦朧と…?

この「菊慈童」というのは、中国に伝わるお話だそうで、周の時代、王に仕えていた慈童という少年が、あるとき王の枕をまたいでしまった罪で深山に流されてしまったのだそうです。これを憐れんだ王は、彼に二句の経文を与え、慈童はそれを朝夕に唱え、忘れてはいけないと傍らに生える菊の葉にしたためておいたとか。すると菊の葉から滴り落ちた露が谷川の水と混じって不老不死の霊薬と化し、それを口にした慈童は少年のままで八百年を過ごしたと言われている、たいそうお目出度いお話なのだとか。

でも、少年のまま八百年も生き長らえたことが、はたして慈童にとって幸せな事であったのでしょうか、ね。