走れメロス



国際子ども図書館でのお話をもう少し。
教科書もおそらく、現在発行されているものはすべて開架されておりまして、そういえば先日友人との会話に登場した「走れメロス」は今でも使われているのかしら、と探してみました。小学校高学年の国語の教科書を端から見てまいりましてもなかなか見つかりません。もう、今は使われなくなったのかしら。確かに、今の時代にあのストーリーは少々無理があるものね、などと思っておりましたら、あら、発見。中学二年の教科書だったのですね。この物語の最後のシーンを覚えていらっしゃるでしょうか。

ひとりの少女が、緋(ひ)のマントをメロスに捧げた。メロスは、まごついた。
佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。
この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
勇者は、ひどく赤面した。


・・・最後、勇者が赤面して物語は終わるのでしたっけ。昔からこの終わり方でした?きっとそうだったのですよね。勝手に変えたりしては太宰治さんに怒られますものね。このシーン、私はまったく覚えておりませんでした。いやはや、人の記憶のあやふやなことよ。「走れメロス」、この年齢になって読み返しますと、あれこれとつっこみどころ満載です。例えばこのシーンにいたしましても、メロスの友セリヌンティウスの処刑を見に集まった群衆の中の一人であるこの少女。何故、緋のマントなど持ってきていたのでしょう、ね。